僕は
この美しい実がなる植物の
名前を知らない
鳥か昆虫が運んできた種が
芽を出し
茎を伸ばし
結んだものなのだろう
なんとも言えない色
美しい
肥料をやり
水を絶やさなかった
わけではない
自然のまま
育った木だ
実を結ぶまでに
どれだけの奇跡があったのだろうと
考える
長雨に
根腐りすることもなく
夏の日差しに
枯れることもなく
ひっそりとそこで育ち
開花して実を結ぶ
気付いたときには
美しい姿で
そこに存在している
今日から始まる
ワークショップについて考えた
手を変え品を変え
自分の色に
染めることを目指していない
気づいた時には
大輪の花を開かせ
そこに確かに存在して欲しい
その手助けは
見えなければ見えないほど良い
俳優の輝きに
演出家の姿は
見えなければ見えないほど良い
それが僕の考え方だ
美しさを見つけて
輝く役を作り出す
それから先は
個々の気持ちひとつ
美しく実を結ぶか
気付かれぬまま時を過ごすか
新しい出会い
縁に
心が躍る
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