出会い頭の一発
という表現がある。
ピッチャーの投げたボールに
それまでのスイングでは
どう見ても当たりそうにないのに
なぜか
フルスイングした
バットの芯でボールを捉え
弾き返されたボールは
スタンドに吸い込まれていく。
出会い頭の一発。ホームラン。
エンタメ業界でも
一発屋
とか
出会い頭
とか
表現されることがあるが
いつも思うことは
「出会い頭で、ボールがバットに当たることはあっても、絶対にスタンドまでは届かない」
ということだ。
試しに
球場のバッターボックスに
立ってみればよい。
外野フェンスは、遥か遠くにそびえ立つ。
あのフェンスを超えて
スタンドまで届かせるには
人並外れたパワーやタイミング
スイングスピードが必要で
出会い頭の一発は
人知れぬ圧倒的努力をした人間のみに
訪れるチャンス。
フェンスオーバー出来ない人間が
ほとんどなのだ。
「その作品には、誰か有名な俳優が出ているのですか?」
何度聞いたか。
「これからの才能が、たくさん出ています」
「なるほど。では、有名な脚本家ですか?」
次に、ほぼ同じ質問が来る。
「有名ではないですが、これから大作が控えています。or自分で書いています」
「なるほど…」
ここまでで、
ほぼ、NGであることがわかる。
相手の、評価の対象ではないのだ。
「監督の名前で、売れますか?」
「名前では売れないかもしれませんが、内容で売る自信があります」
「なるほど。では、なにかの作品で、大きな利益をあげてから、また、話しましょう」
たどり着いた縁の、ラストシーンは、デジャブのようにほぼ一致している。
しかし。
それは、人生の全てではないし、目的でもない。
次の縁に向かうだけだ。
芯で捉えたら
フェンスどころか
スタンドもオーバーのフルスイング。
風を切る音を
聞いていましたか?
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